商品のコンセプトを作る上で欠かせないのが「ターゲット」。
自社の商品特徴ばかりに目が向いてしまい、ターゲットを無視したコンセプトになると、想定した結果にならない場合がほとんどです。しかし的確なターゲットを決めることで、想定以上の結果になることもあり、それほどターゲットは重要なもの。
そこで今回は、コンセプトメイクで必要な要素の1つ「ターゲット」の決め方について、具体的にご紹介していきます。
ターゲットとは?
そもそも「ターゲット」とは何か?
直訳すると「目標。的。商品の販売活動でねらった購入層」と出てきますが、まさにその通り。
『買っていただくお客さんの層』となります。
つまりは「この商品はどんなお客さんに向けたものなのか」ということです。
「ターゲット」はマーケティングではもちろん、ブランディングや集客、ビジネスなどの起点となります。もしここのターゲット決めをミスってしまうと「的外れ」となり、集客や購入といった結果には結びつかないでしょう。
しかし「ターゲット」が定まることで、マーケティング、ブランディング、ライティングをする際により焦点が絞られて「的を得た」ことにより、しっかりと成果へ結びついていくはずです。
ぜひ、この記事でターゲットの決め方を参考にしてみてください。
ターゲットの具体的な決め方とは?
それでは実際にどのようにしてターゲットを決めていくのか。これを行なっていくためにも、必要なのがまず「どんな商品なのか」という情報です。
ここでは例として「腕時計」にしましょう。その腕時計もどのような特徴があって、どんな機能があるのかなどの詳細を把握しておく必要があります。
例えば文字盤が小さめでシンプルに時間が分かるのみ、しかしデザインはカラフルだったり、ジュエリーと合わせられるようなもの。
同じくシンプルだとしても文字盤が大きめでメタリックな装いだったり、スーツに合うような高級革を使っているもの。
一方、気温や日付が分かるような、様々な機能がついたゴツい腕時計もありますし、まずは「あなたが売ろうとしている商品はどんな特徴があるか」そこを見定める必要があります。
一方、気温や日付が分かるような、様々な機能がついたゴツい腕時計もありますし、まずは「あなたが売ろうとしている商品はどんな特徴があるか」そこを見定める必要があります。
今回は実際に私が愛用している腕時計の、ターゲットを決めていってみましょう。
私が使っているのは「G-SHOCK」のMTG-B1000B-1AJFというものです。
G-SHOCKの特徴でもある、耐衝撃ボディとなっており、Bluetoothが搭載されているモデルです。
カーボンファイバー強化樹脂を用い、軽量化と耐衝撃性を実現しており、文字盤には24時間時計やストップウォッチ機能、タイマー機能、カレンダーや曜日なども分かる機能がついています。
手巻きや電池入れ替えの必要はなく、ソーラー充電となっており、Bluetoothで時刻情報を取得するのも特徴的です。価格は約10万円となり、「黒と赤の衝撃」というキャッチコピーで販売されています。
腕時計の情報はざっとこのくらいとして、ではどのようにターゲットを決めていくかです。
ここで腕時計の情報を並べてみます。
- 商品は腕時計
- G-SHOCK
- 耐衝撃性がある
- Bluetooth搭載で時刻情報を取得
- 文字盤には様々な機能がある(24時間時計やストップウォッチ機能など)
- ソーラー充電
- 価格は約10万円
- 見た目はかなりゴツい
といった感じでしょう。
本来ならばもっと情報を洗い出すと良いかもしれませんが、例なのでこれくらいの情報とします。でも、この程度の情報からでもターゲットは見えくるんです。
まず明らかなのは見た目のゴツさやデザインから、「男性」に絞ることができます。女性もG-SHOCKをつけている方がいますが、例題の商品に比べると、もう少し小さく女性らしさがあるデザインのものが多いです。やはりまず見えてくるのが「男性」というところでしょう。
では「男性」というのは絞れましたが、だいたい何歳くらいの人なのか。デザインは若者向きでありながら、30代、40代にも魅力的なものになっているかと思います。
50代、60代の方は、もしかしたらもっと大人なイメージの、落ち着いた腕時計を好むかもしれませんし、そういった年代の好みは市場調査をしてリサーチすると、さらに的確なターゲティングができます。 このG-SHOCKは20代~40代くらいの年代が惹かれそうですが、価格が10万円ほどということで比較的収入が高く、安定している30代~40代に絞ってもいいかもしれません。
もちろん、実際の客層や口コミを調査することで、客観的な目線を強く取り入れることも大切ですし、より的確なターゲットを絞り込むことができます。
今回はあくまでも例題として「30代~40代の男性」ここに絞れてきました。
年齢と性別のみでターゲットを決めてはいけない
ここでやってしまいがちなのが、「年齢と性別のみでターゲットを決めてしまう」ということです。
「30代~40代の男性」という年齢と性別に絞り込みましたが、その中でも職業別に分類すると以下のようになります。
- 一般的な会社員
- 会社の役員
- 社長
- フリーランス
- 飲食系
- 事務系
- サービス系
- 医療系
などなど、挙げたもの以外にも多岐にわたります。
「30代~40代の男性」の中にも、それぞれライフスタイルや価値観はそれぞれ異なりますし、ひとくくりにすることはできません。
例えば毎日スーツを着てお仕事をする人が、どれほどG-SHOCKを求めているのか。社長や会社の役員となると、四六時中お仕事をする生き方の方もいるので、スーツが普段着になる人にG-SHOCKは必要なのか。どちらかというとラグジュアリーかつ落ち着きのあるイメージの腕時計のほうが必要としているイメージですよね。
さらにサービス系や医療系の方たちは、より人と接する機会が多くなりますし、ゴツい腕時計のG-SHOCKを普段使いするイメージもありません。もちろん休日でファッションとして使う方はいらっしゃると思いますし、そもそも普段使いや休日のみ使うといったところも職業によって変わってくるところです。
今回、例に挙げたG-SHOCKはどちらかというと普段も私服で仕事をする方や、ある程度時間に縛られない暮らしをする方のほうが四六時中、使っているイメージがありますよね。
また、「結婚しているか」「子供がいるか」「電車通いか」「車通勤か」「どこに住んでいるか」などで、価値観やライフスタイルはさらに細かくなっていきます。そのように売りたい商品のニーズがある層を掘り下げていくことでターゲットが見えてくるものです。
なので強引に「30代~40代の男性」とひとくくりでターゲットを設定してしまうと、結局は誰にも刺さらないオールターゲットのようなものになります。
具体的なターゲットが定まらないと、ベストなライティングや訴求ができなくなってしまうので、想定した結果になりにくいということです。
それを踏まえて今挙げた「職業」を、絞り込みの要素として1つ加えると、
- 30代~40代
- 男性
- 普段着で仕事をしている人
ざっとここまでは決められると思いますし、これだけでもどんな人物がターゲットなのかをイメージしやすくなったでしょう。もちろん、その商品の情報と特性に合わせて、さらにターゲットを絞り込むことも出来ます。
ペルソナを作り出し「悩み」「希望」を浮き彫りにしよう
上記までである程度ターゲットは決められたと思います。
ただ、それはあくまでも「何となくこんな客層」で設定しているだけで、具体的なお客さんのイメージはまだまだ浮かびにくいものです。
今の時代ではライフスタイルや趣味嗜好が様々あり、年齢や性別、職業のみでは顧客像をイメージすることはとても困難となっています。つまり、人それぞれの生き方・暮らし方が多種多様となっており、ターゲットのみでは顧客のイメージが明確になりにくいということ。お客さんのイメージが完全につかないのであれば、マーケティングを成功させる確率は十分に高いとは言えません。
そこで、「ペルソナ」を作り上げることによって、より深く詳細に人物像を設定していきます。
ターゲットは「どんな属性の人」に対して、ペルソナは「ターゲットの属性に沿った具体的な顧客像」。設定を細かくすることでより具体的な顧客像をイメージでき、深掘りすることで抱えている「悩み」や「希望」を浮き彫りにすることができます。
つまり架空の人物であるペルソナを作ることで、ユーザー視点でマーケティング、ライティングが可能になるんですね。
実際にペルソナを作り上げるとしても、どこまで細かい情報を決めるかに悩んでしまうでしょう。そこで参考になる項目を記載しました。
- 名前
- 年齢
- 性別
- 血液型
- 性格
- 職業
- 年収
- 未婚/既婚
- 家族構成
- 居住地
- 賃貸/持ち家
- 身長
- 体重
- 交友関係
- 1日のスケジュール
- 休日の過ごし方
- 趣味
- 特技
- 好きな映画
- 好きな本
- 好きな音楽
- 最近の悩み
- 将来の夢
などなど、かなりの項目があります。その中でも性別や年齢、職業はターゲットで層が絞られたので、ある程度設定することができると思います。
では、その他の項目はどのように決めていくのか?というところですが、もちろん適当に決めてしまっては意味がありません。
ここで重要になるのが、「データ収集」となります。
ペルソナ作りに重要な「データ収集」
先程、G-SHOCKの性能や特徴を書き綴りましたが、それだけでは正直足りません。その業界にフォーカスした統計データが必要であり、それがあるほど精度は高まります。
- 実際にG-SHOCKをつけている人へのアンケートやインタビュー
- SNSやネット上での書き込み
- 企業記事や代表の発言の閲覧
などなど、様々な情報を集めて分析します。もちろん最新の情報であればあるだけ良いです。
そういった情報収集から、どんな職業の人が多いのか、具体的に何歳くらいの人が多いのか、結婚している人の方が多いのか、そんなデータが出来上がっていくと思います。
そしてそのデータを参考にペルソナを作り上げていくのです。
このデータ収集を怠ってペルソナを作ってしまうと、「こういうお客であってほしい」といった、単なる販売者側の理想像になってしまうのでご注意ください。
「こんなお客さんのイメージだよね」という根拠のないペルソナではなく、データ収集・調査・分析を行なった上で、理想や思い込みを排除したペルソナを作っていきましょう。
まとめ
この記事ではターゲット・ペルソナについてお伝えしていきました。
「買ってもらえる」ことを前提として作っても、データ収集を怠って「こんなお客さんのイメージ」と作っても、そのターゲット・ペルソナはまったく意味がありません。理想や主観で設定するのは最大のタブーであり、本来のユーザー像から大きくずれてしまう可能性があります。
商品の情報、顧客データや口コミ、SNSやネットといった客観的な情報からターゲット・ペルソナを作り上げていきましょう。
売れるコンセプトを作り上げるためにもターゲット・ペルソナの設定は非常に重要です。ぜひ、今回お読みいただいたことを今後に活かしてみてください。