「売れるコンセプトを作りたい!」という方にこそ知っておいてほしい、コンセプト作りに重要な3つの要素があります。
コンセプトは音楽のメロディーのように、ふと浮かんだものがヒットするわけではなく、商品や市場のリサーチをしてこそ、ベストなものを作ることができます。ここでは重要な3つの要素をどのようにして組み合わせていくのかを解説していきましょう。
コンセプトの成功例
まず「売れるコンセプト」とはどういったものなのか?というところです。ここで最高のコンセプトで、大成功を収めた例を挙げます。
1000曲をポケットに
こちらが非常に有名です。
iPodは技術的に説明すると、「超小型のHDDを搭載した音楽プレイヤー」ですが、この言葉だけを言われても欲しいとはなりませんよね。
でも、「1000曲の音楽をポケットに入れて持ち運べる」というコンセプトならイメージも湧きますし、ワクワクして欲しくなると思います。
当時は他にも小型の音楽プレイヤーはありましたが、1000曲という数を入れられるものはなく、聴きたい音楽を入れ替える手間などもありました。そこで超小型HDDを搭載したことで「1000曲をポケットに」というコンセプトで勝負に出たんです。
そこには3つの要素が、しっかり入っていることが鍵でした。
コンセプトの3つの要素
良いコンセプトには、ある3つの要素が明確になっています。
その要素とは、
- 誰に(ターゲット)
- 何を(ベネフィット)
- どうやって(USP)
というものになります。
iPodを例にすると、
- 誰に(ターゲット)・・・音楽の入れ替えを不便と感じている人
- 何を(ベネフィット)・・・すべての音楽を保存できるプレイヤーを
- どうやって(USP)・・・大容量の小型HDDによって
となります。
この3つの要素をベースにして組み合わせ、アイデアを出していったことで、「1000曲をポケットに」というコンセプトが誕生したんです。
それではこの3つの要素が、具体的に何を意味するのかを見ていきましょう。
誰に?(ターゲット)
まず誰に向けた商品なのか?それを明確にしていきます。
「30代男性」といった年齢や性別だけというよりも、「30代後半の男性。年収は●●万円ほどで既婚、通勤時間は●分ほどで●●の悩みを持っている」というように、ある程度具体的な人物像まで描けるとベストです。
その方が消費者像をイメージしやすく、商品が受け入れられるかも判断しやすくなります。
ただ、売りたい商品に対してどんな層がいるのかなど、しっかりと市場をリサーチする必要があります。ここを怠ってしまうと、販売者側の都合の良い、根拠のないターゲットとなってしまいます。
市場をリサーチしていない間違ったターゲットではなく、根拠に基づいたターゲット設定をすることが大切です。
ターゲットの詳しい決め方は以下の記事をご参考ください。
商品のコンセプトを作る上で欠かせないのが「ターゲット」。 自社の商品特徴ばかりに目が向いてしまい、ターゲットを無視したコンセプトになると、想定した結果にならない場合がほとんどです。しかし的確なターゲットを決めることで、想定以上の結果[…]
何を(ベネフィット)
次に考えるべきが、そのターゲットに対してどんなベネフィットを提供できるのかです。つまり、「商品を使うことでどんな利益がもたらされるか」です。
ベネフィットといっても、必ずしも物理的な利益だけではありません。遊園地などのサービスなら楽しい体験だったり、空気清浄機は良い空気といった目に見えないものもあります。
重要なのはその商品を手にしたら「どんな満足な未来を手にできるか」を提示してあげることです。お客さんは商品自体を買いたいのではなく、商品を使うことで得られる良い未来を欲しがっています。
いかに設定したターゲットの目線になって、ベネフィットを導き出せるかが重要となります。
ベネフィットの詳しい作り方は以下の記事をご参考ください。
売れるコンセプトを作るために必要な要素「ベネフィット」。 お客さんが商品を購入することで、自身にどんな恩恵がもたらされるのか。そこをしっかり提示することで購入にも繋がりやすく、良いコンセプトにも昇華できます。 むしろベネフィッ[…]
どうやって(USP)
提示するベネフィットを、どのように叶えるのか、または提供するのかです。
ターゲットに対して「こういったベネフィットを提供したい」というところまででは、ただの夢物語で終わってしまいます。
ベネフィットをどのような根拠で提供できるのかというところを、定めておく必要があるんですね。先程のiPodでいうと、他のプレイヤーでは成せなかった超小型のHDDを内蔵しているからこそ、「1000曲をポケットに」というコンセプトが実現します。
つまり、その商品にしかないUSP(独自性)を打ち出すことによって、ベネフィットをどうやって実現するかを提示するんです。
その商品だけが持つ独自性を見つけられるかどうかで、競合商品との差別化も図れて、お客さんにベネフィットをイメージさせやすく、商品価値を持ってもらいやすくなります。
USPの詳しい見つけ方は以下の記事をご参考ください。
最高のコンセプトを作り上げるために欠かせない要素が「商品のUSP」。 いくらターゲットを絞り込んでも、ベネフィットを伝えても、この商品のUSPに欠けてしまっていると売上最大化につながりにくくなります。 今回の記事では、競合に打ち勝[…]
注意!3つの要素はあくまでも「材料」
ここまで見てみると、コンセプトは商品価値を表すことが分かったと思います。
3つの要素についてお伝えしましたが、コンセプトを作り上げるためにはどれも欠かせないものであり、商品や市場のリサーチをしてこそ最高のコンセプトを生み出せます。
ただ、iPodの例で出したように、
- 誰に(ターゲット)・・・音楽の入れ替えを不便と感じている人
- 何を(ベネフィット)・・・すべての音楽を保存できるプレイヤーを
- どうやって(USP)・・・大容量の小型HDDによって
これらだけだとコンセプトとは言えません。
それぞれを書き出したものをくっつけるだけでは「音楽の入れ替えを不便と感じている人に向けた、大容量の小型HDDによって、すべての音楽を保存できるプレイヤー」となりますよね。これではイメージできません。あくまでも3つの要素はコンセプを作り上げる上での材料です。
ではそこからどのようにして「1000曲をポケットに」というコンセプトが作り上げられたのか。それは3つの要素をベースにひたすら「ある気持ち」を持って、案を出す以外にありません。
大事なのは「ワクワクするものを作ろう!」という気持ち
コンセプト作りには3つの要素が必要ですが、これらは料理で言うならば、最高の料理を作るための食材です。どう料理するかはいかに知見を広げるかによるでしょう。
だからといって、すぐに想像力が豊かになるかといったら、それは人それぞれ。そこでコンセプトを作る上で、今すぐにでもできることが「ワクワクするものを作ろう!」という考え方です。
パッと見た上で「面白そう!」「ワクワクする!」と思えないコンセプトは、大抵ヒットしません。作っている側がワクワクしないようならば、それはお客さんにとってもワクワクしないもの。人は面白くないものには目を引かれませんし、興味も持ってくれませんからね。
「1000曲をポケットに」というコンセプトも、その一言を見るだけでイメージが膨らんでワクワク感が高まってきませんか?本当にこんなことが実現したら世界中がビックリしますし、実際にそのとおりでした。
3つの要素をどう料理するかは、あなたが「これならワクワクする!」という気持ちが大きく関わってきます。
まとめ
コンセプトは「誰に(ターゲット)」「何を(ベネフィット)」「どうやって(USP)」この3つの要素で構成されていることをお伝えしました。そしてこの3つがうまく組み合わさることで、コンセプトが出来上がっていきます。
しかし注意なのが、3つの要素をそのまま組み合わせるのではないということ。
「ワクワクするものを作ろう!」という気持ちで3つの材料を、コンセプトへと料理するんですね。
あなたが売りたい商品の3つの要素を出してみたら、そこからどんな素晴らしいコンセプトができるかをとことん楽しんで考えてみましょう。
3つの要素をベースに良いアイデアが浮かんだら、ひたすら書き出していく。そうすることで「売れるコンセプト」が次第に見えてくる思いますよ。