最高のコンセプトを作り上げるために欠かせない要素が「商品のUSP」。
いくらターゲットを絞り込んでも、ベネフィットを伝えても、この商品のUSPに欠けてしまっていると売上最大化につながりにくくなります。
今回の記事では、競合に打ち勝つコンセプトを作るための「商品のUSP」について解説していきます。
「USP」とは?
USPとは「Unique Selling Proposition(ユニーク・セリング・プロポジション)」の略です。
簡単に言うと「その商品が持つ独自性」となります。
Unique Selling Propositionのそれぞれの単語を訳すと、
- Unique:独特な、唯一の
- Selling:販売
- Proposition:提案、計画
となります。
商品やサービスが他の競合より一歩上をいくため、そして興味を惹かせて購入してもらうためには、お客さんから見た独自の「売り・強み」を提示する必要があります。そうして「差別化」をすることによって、競合と差をつけるのがマーケティングのセオリーです。
ただ、商品のスペックだけで競合と差別化を図るのはかなり難しいですし、独自性のある商品ばかりではないので現実的ではありません。売ろうとしている商品に独自性のある機能を加えるのは、莫大な予算がかかってしまいますし、お金をかけた割には売れなかったといった結果もあり得るからです。
私たちライターはあくまでも「持っている限られた手数で、勝つことを考える」必要があります。
そのように戦略や売り方を工夫して、競合他社に勝つために必要なのが「商品のUSP」なんです。お客さんの求めている独自のセールスポイントを提示することで差別化し、競合に打ち勝つことができます。
USPの事例
世の中の数多くの商品がUSPを持っています。商品のUSPの例を1つ出すとすると掃除機の「ダイソン」。
掃除機の業界では数多くの商品が「吸引力がすごい」ことばかりを訴求してきました。しかしその中でダイソンは「吸引力が変わらない」といった独自の商品のUSPによって販売戦略をとりました。
ダイソンは決して他の掃除機に比べて、圧倒的に吸引力が強いわけではありません。
キャッチコピーとしても「吸引力の変わらない、ただひとつの掃除機」といったもので、吸引力の高さではなく、吸引力の持続性を売りにしています。
もし吸引力にフォーカスした訴求になっていたとすると、ここまで話題になることはなかったでしょう。かつ、今以上に吸引力を高めるためも莫大な予算もかかり、その分、大量生産も困難な状況になっていたと思います。
ダイソンはその吸引力の持続性から商品のUSPを見つけやすいのかもしれませんが、「持っている限られた手数で、勝つことを考える」という部分を遵守した販売戦略だと言えるでしょう。
そのように明確な商品のUSPがあり、お客さんに伝わったからこそ、今もダイソンは多くの方に支持されている商品となります。
商品のUSPを見つけるときの考え方
「USP=その商品が持つ独自性」というように、概念としてはとてもシンプルです。
しかし、その商品のUSPを見つけるまでが非常に難しく、頭を悩ませる部分でもあります。商品のUSPを見つけるためには、まず商品の特徴を整理することが大切です。
掃除機の場合なら、
- 価格
- 吸引力のパワー
- 吸引力の持続性
- ゴミを溜められる量
- 吸引の仕組み
- 保証の充実性
- カスタマーサポートの質
- 軽さ
- 持ち運びやすさ
- コードレスかコード式か
- クリーナーヘッドの種類
- デザイン
などなど、挙げたなかで商品のUSPになりそうなものがあれば、それを具体化していきます。ダイソンは吸引力の持続性をUSPであると考えましたが、「持続性がある」というだけではイメージできません。
そこで「吸引力が変わらない」ということは、「変わらない吸引力で部屋中を掃除できる」=「ゴミの吸いこぼしがない」=「掃除時間の短縮もできる」というように、お客さんも明確な効果が分かりやすくなります。
商品のUSPを見つけ出す「3つの要素」
ではいったい、どのようにして商品のUSPを見つけ出すかというところ。
こちらの3つの要素から導き出すことができます。
- 顧客のニーズ
- 競合他社の強みや弱み
- 自社商品の強みや弱み
こちらについて1つずつ見ていきましょう。
顧客のニーズ
まずはお客さんが何を求めているのかを調査する必要があります。
掃除機に求められていることは何があるか考えてみましょう。
「吸引力」「価格」「デザイン性」「軽さ」「使い勝手の良さ」など、あなたがもし掃除機を買うとしたらこのあたりを求めると思います。
実際にSNSやネットなどで、掃除機に何を求めているかを検索してみると、より客観的な意見を取り入れることができます。
お客さんが求めていない商品のUSPを打ち出しても、求めていないのであれば購入意欲も刺激できません。掃除機を買いたいお客さんが何を求めているのかを、しっかりとお客さん目線で洗い出していくことが大切です。
競合他社の強みや弱み
そして競合他社の調査も大切です。
USPはその商品だけが持つ独自性であり、他社との差別化を図るためにも敵を知ることは欠かせません。数々のメーカーから掃除機が販売されていますし、他社がどんなメッセージを掲げているのかを調べる必要があります。
少し大変な作業かもしれませんが、データを収集することで見えてくるものがあるはずです。
掃除機であれば、吸引力は高いけどデザイン性はないもの、吸引力はまあまあだけどデザイン性は高いもの。手軽にさっと掃除ができるようなハンドクリーナータイプもあれば、持ち運びが大変だけどたくさんゴミを吸ってくれるものなど、様々あります。
そのデータをもとにダイソンさんが見つけ出したのは、ゴミが溜まってくると吸引力が低下するものがほとんどという結果となるんです。
自社商品の強みや弱み
最後に自社の目線となります。
顧客のニーズや競合他社を調査したことで、ダイソンなら何をお客さんに提供できるかを考えていきます。ダイソンだからこその特徴や、他社と違うところを見つけていくんですね。ここが最も頭を使う工程になると思います。
お客さんが掃除機に求めていることや、吸引力では他社に勝つことはできないこと、でもゴミが溜まると吸引力が落ちること・・・などなど、様々なデータをもとに「ダイソンなら何を提供できるか」を見つけ出すんです。
そこでダイソンは「吸引力が変わらない性能」や「それを視覚化できるデザイン性」が、他社にはない独自性であり、お客さんに求められているものであると行き着きました。
吸引力が落ちないことと、それを訴求できるデザインは他の掃除機にはない。それこそがダイソンならではの、商品のUSPとなったんです。
もちろんそのUSPが「まんべんなくゴミを吸い込める」「時間の短縮になる」などのお客さんの求めているものにつながっているかもズレてはいけません。
ダイソンはその性能から「商品のUSP」を見つけやすいものですが、中には特徴が乏しくてUSPがなかなか見つからない商品もあります。でも、この3つの要素によって何かしら商品のUSPが見えてくるはずですし、「持っている限られた手数で、勝つことを考える」ことは忘れないようにしましょう。
まとめ
USPについていかがでしたでしょうか?
「独自性」と一言で言い表せられるほどシンプルですが、実際に見つけ出すのは難しいものです。商品のUSPというものは簡単に見つけ出せるものではないですし、どんな企業でもマーケターでもライターでも、しっかりと時間をかけて作り上げるべきものです。
- 顧客のニーズ
- 競合他社の強みや弱み
- 自社商品の強みや弱み
この3つの要素を理解し、調査し、組み合わせる必要がありますし、一朝一夕でできるものではありません。
しかし、顧客と市場と捉えた商品のUSPを見つけることができれば、かなり秀逸なコンセプトを作り上げることもできます。そしてマーケティング面で優位に立つことが可能となり、成果へつながっていくはずです。
ぜひ、この記事の内容を参考にして、あなたが紹介する商品のUSPを見つけてみてください。